富士山や海外登山となると、標高が高いため、絶景に興奮しながらも高山病との戦い。
ネパール・エベレスト街道のゴール、エベレストベースキャンプまで行きたい場合、ガイドブックでは、トレッカーの4分の1が高山病でゴールまで辿り着けなく、残りの4分の3の人も、予定外の延泊や、一度標高を下げてから再チャレンジしている なんて書かれてあります。
私は、日本アルプスの標高3000mではお酒が飲めるくらいのレベルですが、慣れている3000mを超えるネパールのトレッキングでは、よく高山病になってしまいます。(はじめて日本アルプスに登った時は、もちろん高山病に苦しみました)
それでも、標高6000m越えのピークに2度立つことができました。
そこで本記事では、高山病対策として私が実践していることと、エベレストの麓に住む現地シェルパに教えてもらった高山病対策をご紹介したいと思います。
高度に弱いけど、エベレスト街道を歩きたい方、ぜひご覧ください。
私が実践している高山病対策
少し過剰なくらいゆっくり登る
私の高地耐久レベルは、日本のアルプス3000mでお酒を飲んで1夜を過ごしても平気、だけど、富士山3880mは高山病になる というレベルです。
日本アルプスの3000mも、はじめて登った時は高山病に苦しみました。何度も登ってるうちに、いつの間にか慣れていて、お酒まで飲めるように。
なので、高山病は、体質ももちろんあると思いますが、どれだけその高度で過ごしていたかという「慣れ」が重要だと思っています。
そしてこの経験から思うのは、ゆっくり登れば、ほとんどの人が高度に順応できて登れるのでは ということです。
この「ゆっくり」が、人によって様々なので、ツアー登山や日程に制限がある場合が難しいところ。
軽い頭痛がした時点で、それ以上は高度を上げずに、そこに留まるか、少し高度を下げて休むことができれば、高度順応できる確率が高いと思うんです。
もちろん、テント泊装備を持っていなくて、山小屋やロッジがない場所では留まることはできませんので、その場合は留まるのではなく、山小屋がある場所まで下山して様子見が最適。
個人トレッキングの場合は、こんなところが自由になるので、高度に強くない私は個人トレッキングが好きです。
ツアーで来ていて、高度順応できずにヘリで下山となっている人をけっこう目撃しました。
きっと、1日〜2日、同じ場所で様子見できたらゴールまで行けたんじゃないのかな なんて思いながら見てました。
留まるか、進むべきか を判断るす基準ですが、私は超慎重派なので、ちょっとでも頭痛がある時点で進まないと決めています。軽度の頭痛であれば、私の経験上、そこに留まっていればいつかは順応します。
嘔吐・下痢・発熱などがある場合は、下山かヘリという深刻な問題になってしまいます。そんな深刻な問題になる前に、軽度の頭痛を感じたら、それ以上は進まないのが安全。
長い急斜面は超ゆっくり登る
何時間も続く急斜面は、とにかくゆっくり登るのがおすすめ。ここを無理すると、一気に高山病になり、敗退コースへまっしぐら。
決して、他のトレッカーに対抗意識を燃やしてはいけません(笑)
もちろん、高度に自信のある方はガシガシ登って全然問題ありませんが、高度に弱いと自覚がある場合は、他の人のペースなんて全て無視しましょう。
無理のないペースで、自分が大丈夫と思っているよりももっと遅めのペースがおすすめです。特に、一人の場合はペースが上がってしまいがちだと思うので、ゆっくりを過剰に意識するくらいがちょうどいいと思います。
ただし、日暮れに間に合うように朝の出発時間などご注意ください。
体を冷やさない
冷えは万病の元であり、高山病の元。
寒いと感じたら、すぐに防寒着を着ましょう!そして、現地のシェルに教えてもらったのですが、頭の冷えが一番高山病に直結しやすいらしいので、ニット帽など、頭の冷えを守ることにはお気をつけください。
寝るときも、寒い場合はニット帽やダウンの帽子を被ったまま、寝袋の頭部分もきちんと活用して寝るのがおすすめ というかきっと必須だと思います。
睡眠時は高山病になる確率がグッと上がるので、ここで体を冷やさないのはとっても大事!
ナルゲンボトルにお湯を入れて湯たんぽにするのもおすすめです。日中は水筒として使えるので、決して邪魔な荷物にはなりません。
ナルゲンは沸騰したお湯でも使えます。そして漏れる心配もなく安心して湯たんぽとして使えますよ!
心肺能力を高める
空気を取り込む能力(心肺機能)が高ければ高いほど、高地への順応は早くなりやすい
ということを、こちらの本で学びました。
確かに、ネパールでのトレッキングで出会った人たちを思い出すと、若くて元気な人や、若くはないけどトレーニングしてそうな人は高山病に負けてなく、普段運動してなさそうな人は高山病になっている率が高い印象がありました。
一概には言えませんが。
そこで私は、心肺機能を高めるために有酸素運動に取り組み、その結果、以前よりは高度順応が順調にできるようになりました。
免疫力を高めておく
高地では免疫力が落ちるため、一度風邪をひいてしまうと下山するまで治らないことが多いです。
シーズン中のエベレスト街道は、世界中から沢山のトレッカーが訪れているので、人からもらってしまうウイルスもあり、なかなか自己防衛が大変。
(昨年のGWにエベレスト街道へ行った時は、宿泊した多くのロッジで、8割くらいの人が咳き込んでいる感じでした。)
なので、ちょっとしたウイルスに負けないくらいの免疫力を蓄えていくことがまた、ゴールまで辿りつけるポイントだと思います。
免疫力を高める方法は、心肺機能を高める、栄養バランスのある食事、睡眠が代表的な対策でしょうか。
栄養バランスのいい食事プラス、鉄分を多く摂取するとヘモグロビンが増えてより酸素を体内に取り込む力が増す(=高度順応に強くなる)らしいので、毎日ホウレン草を食べてます。レバーも良さそうですが、私はレバー苦手なので・・・
エベレスト街道では、濃い緑の野菜がよく料理に入っていて美味しいのですが、きっとあれはホウレン草みたいに鉄分多めなんじゃないかと勝手に思ってます。
アルコールは飲まない
アルコールは厳禁。高山病が心配になる予定の日の前日からアルコールは禁止が効果的。
水分を沢山とる
食事からとる水分も含めて、1日3〜4リットル飲むのが好ましいと言われています。
なかなか難しい量。
スポーツドリンク粉末やティーバックなどで味をつけると多少は多く飲めますが、だいぶ辛いです。
カフェインは午前中のみに
高度が上がるとなかなか眠れなくなってしまうので、眠りを妨げるカフェインは要注意。
水分を沢山とるためにティーバックを持参するかと思いますが、ノンカフェインのハーブティーやルイボスティーなどがおすすめ。
一見ノンカフェインで体に優しそうにみえるほうじ茶はカフェインが入っているのでNG飲料。
私は以前、ほうじ茶はノンカフェインだと思い込んでいて、トレッキング中にせっせとほうじ茶を飲んでいました。そして、なかなか眠れません。ほうじ茶はカフェイン入ってるよ と教えてもらってほうじ茶を飲むのをやめたら、安らかに眠れました。
1日に上がる標高は500mまで
ガイドブックに書いてあるそのままですが、なるべくこれは守っています。1日500mずつ標高をあげて、1000m登ったら1日休む。
ルートによっては難しい場合もありますが、なるべくこの範囲を超えないように心がけています。
薬にも頼る
ダイアモックス という薬は必ず飲んでます。
自然を満喫するために行ってるのに、薬を飲んでまでして行くなんてちょっとなあ・・・ と最初は躊躇していたのですが、
薬を飲んででも絶景の中を歩きたい!という気持ちの方が勝っていて、毎回毎回飲んでます。
ゴールの最高高度まで辿りついたあとは薬なしでも平気なので、きっと、恐ろしくゆっくり登れば薬はいらないんだとは思います。私の場合は、普通のツアーペースよりもちょっと遅いペース進むのですが、それでもダイアモックスがないと順応できません。
関連記事:高山病予防の薬ダイアモックスの使用感レビューと価格・入手方法
シェルパに教えてもらった高山病対策
実際にネパールでトレッキングしている時に、現地のシェルパに教えてもらった高山病対策をご紹介します。
ガーリックスープ
ネパールのトレッキング街道にあるロッジでは、ほぼどこでも販売されているガーリックスープ。
ニンニクは高山病対策にとてもいいそうです。
そして、このガーリックスープは日本人の私でも美味しく飲みやすいので、沢山の水分を摂取できます!どのロッジでも、一杯のスープは500mlくらい(もっとかも)あるので、楽に水分摂取できる優れた一品。
時々、脂っこくて飲みにくいロッジもあるのですが、だいたいは脂っこくなく日本人でもペロリと飲めるスープになっています。刻んだニンニクが沢山入っていて、化学調味料ばかりの粉末スープとは全然違います。
私は、目的地に到着できるまでは、毎晩ガーリックスープを飲み、目的地に到着でき、あとは下山するだけになった時点でガーリックスープを卒業します。
美味しいのですが、何日も毎晩飲むと、さすがに飽きてしまします^^;
ジンジャーティー
ジンジャーミントティー
ガーリックスープ同様に、ジンジャーティーもネパールのトレッキング街道ではどこでも販売されています。
生姜も高山病にとてもいいそうです。
多くのロッジでは、化学粉末ではなく、刻まれた生姜が沢山カップに入っているので、より体に良さそうで嬉しい飲みものでおすすめです。
ただ、生姜が沢山入ってるのはいいのですが、同時に「ティー」なので、その「ティー」の正体がわからないのがアレです・・・
カフェインが入っているのか現地の人に何度か聞いてみたのですが、私の英語力が稚拙すぎるのか、きちんとした答えをもらえたことはありません。
なので、この飲み物はランチの時間くらいまでに飲むようにしてます。朝食やランチの時の飲み物にぴったりかも。
名前不明の胡椒みたいなやつ
メラピークに登る前に、現地のシェルパガイドが高山病にいいよと出してくれた調味料(?)
これはさっぱりした胡椒みたいな味がして美味しかったです。
まとめ
以上、私が気をつけてる高山病のための対策と、現地のシェルパに教えてもらった高山病対策をご紹介しました。
高度に弱くて困ってる方の参考になりましたら嬉しいです。