2018年ゴールデンウィークに行ってきたエベレストBCトレッキングの山行日記3です。日記2はこちら
費用やスケジュールなど、概要は下記にまとめています。
DAY10 ロブチェ – ゴラクシェプ (5150m)
この日は、また大勢の人に紛れてのトレッキング。
体調は相変わらずあまり良くなく、朝食も喉を通らなかった。
かろうじて歩くことができるくらい。
なので、ちょっとでも荷物を軽くしようと、着替え類をロブチェのロッジに預かってもらうことにした。
ほんのちょっとだけども、今の自分にはこのちょっとが大きい。
ロバ(?)に乗ってる人もいた。そんなサービスもあるのか。
体力があまりなくても、誰でも楽しめるようになっているって、本当に素晴らしい!(長い休暇とお金があれば)
義足の方を数名見かけた。自身で歩いている人もいるし、ロバに乗っている人もいた。
ゴラクシェプまでの道は、ほぼ平な道をゆるゆる登るだけだと思っていたら、遠くに凄い急斜面が見えた。
地図を確認すると、ロブチェパスというところだった。
〇〇PASS とは、峠越えみたいな意味なのだろうか。
もうこんな登りはないと思い込んでいたので、すごく落胆するとともに、今の自分の体力で登り切れるだろうか心配になった。
私もロバをお願いするべきだろうか・・・・
写真でみると大したことない丘に見えるけど、実際はもっと急に見えた。
そして、この人の行列は日本の夏山の風景と似ている。
この急斜面をロバに乗って登るのはちょっと怖そう。
道は幸い1本道ではなく、いくつもあったので、まわりをそこまで気にすることなくゆっくり登ることができた。
なんとか登ることができて一安心。
登り切ったところでかなり休憩した。
日本語のTシャツを着た日本人ぽい人を見かけたが、にこやかに話しかける元気がなかったのでそのまま素通りした。
振り返ると、やっぱり素晴らしい景色!
もうこのあとは平坦な道しかないだろうと祈りながら進む。
きっといつもの体力があれば平坦にしか感じない道も、弱っているとすごいアップダウンがあるように感じる。
ゆっくり歩いているけど、歩いても歩いても、なかなかゴラクシェプにたどり着かない。
GPSで確認するたびに、あまり前に進んでいなくてがっかりする。
もし、この日天気がもてば、カラパタールに登ってしまおうと思っていたけど、この時点でだいぶ疲労していたので、難しいかななど考えていた。
昨日、エベレストにチャレンジしてきた方に、朝のカラパタールは逆光になってしまうので夕方に登ったほうが綺麗と教えてもらっていた。
以前行ったゴーキョも、朝に登ったらすごい逆光であまり感動しなかった記憶があり、できれば夕方に登りたいなと思っていた。
ただ、毎日朝は晴れているけど、だいたい10時くらいにはガスが上がってきてそのあとは曇りというパターンが続いていたので、夕方晴れる確率は相当低い。
お昼14時くらいまで晴れていれば、日中に登るのもよさそうだけど、その時間に晴れている確率も相当低い。
と、本日の行程をどうしようか考えながら前に進むと、だんだんと異次元の世界になってきた。
凄い!
そして、道は1本道になり、前から後ろから、ビッググループが行きかうため、なかなか前に進まない。
疲れ果ててしんどかったので、ゆっくり進めてよかったと思うのだけど、なかなかゴラクシェプにたどりつかない。
あの丘を越えたらゴラクシェプだろうか! と思って丘を越えたらまだまだアップダウンが続く ということを繰り返し、ロブチェから4.5時間かかってゴラクシェプに到着した。
地球の歩き方には、ロブチェーゴラクシェプーカラパタール で4時間と書いてあったので、目を疑った。
どう考えても、健康体でも、この歩き方に書いてある4時間は無理じゃないだろうか。
昨日、ロブチェで宿泊にしておいて良かった。
もし、歩き方に書いてある時間だけを参考にしていたら、きっと遭難していたにちがいない。
ゴラクシェプでも、まずは1件目にあるロッジから部屋が空いているかどうかチェック開始。
1件目のダイニングに入ると、沢山の人でにぎわっている。
これは部屋ないかなーと思っていたら、大丈夫だった。
部屋からの景色はとてもよく、日当たりもとても良かったので、ここもロブチェのロッジと同じくらい暖かい。
凄く寒いと予想していたので、拍子抜け。(夜は寒い)
お昼ご飯は、リンゴ! これなら食べられる!
ここのロッジのスタッフさんはとても気さくでサービス精神旺盛。
一人で来たの?あなたは強いね! とか、
あなたはとても美しい! とか、
たくさん褒めちぎってくれる。
体調悪いけど、気分はかなり良くなった。
お昼を食べたあとは、ロッジの周りを散策しつつ、カラパタールへの道を確認。
すでにガスが上がってきているので、夕方に登るという案はなしかなと迷う。
体力的にはすでに限界がきていたので、夕方晴れてしまっては心は登りたいけど身体は登れないの狭間で葛藤しそう。
それにしても、標高5000m越えたせいか、一歩一歩が苦しい。
ちょっと登るのでも、かなりゆっくりなペースでしか登れない。
先日3日間一緒に過ごさせてもらった日本人グループの方たちは、以前カラパタールに登ったことがあるとのことで、どれくらい時間かかるか聞いていた。
ゴラクシェプからの登りは最低3時間はみておいたほうがいいよ とアドバイス受けていた。
標高が高いので、思ったほど前に進めないとのこと。 まさにその通りだと実感した。
きっと、往復で最低5時間はかかるだろうか。 だとすると、今の私の体力だと、丸1日必要ということになる。
今日はもう登らないとしても、明日登ってしまえば、明日はゴラクシェプにもう一泊となる。明日はせめてロブチェまで下山しないと、日数が足りなくなる。
このあと元気になればいいのだけど、今の体調のままだと余裕がない。
明日ロブチェというのもちょっとこころもとなく、できればもっと下まで降りたい。
そんなことを考えながら歩いていると、ガイドさんと思われる人に声かけられた。
このあとの予定を聞かれて、晴れたらカラパタール登りたいけど、晴れなかったら明日にしようかな と。
ガイドさんとそのお客さんも同じことを考えていたらしく、夕方登るなら一緒に登ろうと誘ってくれた。
そして、やはり、朝は逆光になるから夕方に登ったほうがいいと。
宿泊しているロッジが一緒だったので、一緒にロッジへ戻る。
ダイニングより個室の方が明るくあたたかったので、個室で休もうと部屋に入ると、さきほどのガイドさんがあわてて私の部屋をノックする。
何事かと思ったら、すぐに寝てしまっては高山病になるから駄目だ!本はもっているのか? 絶対に寝たらだめだよ と真剣にアドバイスしてくれた。
私は客じゃないのに、なんて親切なんだろう。
少し散策したから寝てもいいかなーと思っていたけど、寝ないで本を読むことにした。
太陽は出ていて暖かいが、一面ガスが上がってきて景色はほとんどない。
15時半になっても同じだったので、夕方カラパタールに登ることはあきらめた。
というよりも、体調不良で登れなかったと思う。
また熱が上がってきて、夜ご飯は卵半分しか食べれなかった。
でも、なぜか、プリングルスだけは食べれる。この日から毎日まめにプリングルスでカロリー補給した。
やっぱり、慣れ親しんだものじゃないと食べれないものらしい。
次回は絶対に、フリーズドライのにゅうめんを持ってこよう。
熱の他に、咳も出てきた。
ダイニングでは、咳をしている人多数。
私だけじゃなく、みんな風邪ひいてるんだと知る。
咳といえば、このままでは私は咳喘息に突入してしまう・・・
喘息の薬を持っていなかったので、このあとは苦痛の連続になるだろうことを覚悟する。
夜、この後のスケジュールを考えた。
ここまで来ておいて、ちょっと悔しいけど、カラパタールはなしにすることにした。
あともう1日予備日があれば登ったのだけど。あと1日足りなかった。
でも、ここまでの景色で十分満足。ガイドブックにあった写真を見て、ここに来てみたいなーとずっと思っていて、だいたい似たような景色に身をおけたので良しとした。
あとは、早朝の逆光があまり感動できないことを前回味わっているので、無理して早朝登ることもないかなという思いもあり。
もちろん、健康だったら逆光でも登ったけど。
風邪薬を飲んで、朝には熱が下がっていることを祈りながら寝た。
DAY11 ゴラクシェプ – ペリチェ (4252m)
朝、熱は下がっていた。天気は快晴。
6時ちょっとすぎくらいだったけど、ダイニングはオープンしていた。
食欲はないので、甘い飲み物でなんとかカロリー摂取。
ゆで卵も注文したけど、半分食べてギブアップ。残りの1個はテイクアウトした。
食欲はないけど、なんか調子いいような気がする。
と、昨日決めたことだけど、まだ未練たっぷり。
食欲がない時点でアウトなので、心を鬼にして、これからはルクラからの飛行機の日程に間に合うように下山することに集中することにした。
発熱して食欲を失ってから今日で4日目。咳も出てきて、腹筋も疲労してきた。
普通の行程であれば、ここから下山には3日あればいいはず。でも、今の私の体力だと4日必要だった。
それに、体調が万が一悪化してしまったらと思うと、心配すぎて無理できなかった。
ゴラクシェプの宿で料金の精算をしようとすると、なんと、私が注文したものが、最初のランチ分しか記載されていない 笑。
大勢のトレッキング客で混雑していたので、混乱していたらしい。
ということで、注文したものを思い出しながら自己申告。合計3150Rs支払った。
ゴラクシェプでは5000Rsくらいは払うことになるだろうと予想していたので、少ない支払いとなった。
宿を後にし、下山開始。
道はとても空いている。私と、ずっと前にもう一組だけ。
こんなにいい天気だから、きっとみんなカラパタールに登っているのだろう。
静かな道をゆっくりあるきながら、なんか調子いいような気がして、何度も後ろをふりかえり、やっぱりカラパタール登ろうかという思いが湧いてくる 笑。
いやいや、発熱してからのここ数日を振り返ると、朝は熱が下がっていて多少調子がいいけど、夕方には発熱してダウンするというパターンが続いていることを思い出す。昨夜からはそれに咳が追加されて、睡眠不足なうえに腹筋も疲労してきている。そして、日本から持参した風邪薬はもうあと少ししかない。調子がいいうちに下山するべきだ と自分に言い聞かせた。
宿からちょっと登ったところ。
カラパタールには行けなかったけど、おかげでヒマラヤの朝を、こうしてひとり静かに迎えられた。
眺めているうちに、少しお腹が空いたのでプリングルスを食べた。
もしかして、食欲復活か!?
数枚食べて満足・・・
ワンコがすかさず寄ってきて、目で訴えてくるので、何枚かあげた。
最後の未練をプリングルスを食べながら10分ほど堪能し、下山の決意を固めた。
登りの時と反対の風景を楽しみながらの下山は、飽きることがなかった。
凄いな、凄いな!! と、この雄大な景色の中に自分がいることがうれしくてたまらない。
そして、緩やかな下りなので、身体も楽だ。
3時間ほどでロブチェに到着。
昨日の登りにかかった時間と合計すると、ロブチェーゴラクシェプーロブチェ で、7.5時間かかっている。
地球の歩き方には、ロブチェーゴラクシェプーカラパタールーロブチェで7時間となっている。
本当にこれが標準タイムなのだろうか・・・ 日本からの多くのツアーが、ロブチェーカラパタールーロブチェのスケジュールをとっているらしいので、きっとみんなこれくらいのペースで歩くのかな。
私は、健康体でもこのペースはきっと無理だなと思った。
きっとツアーに参加したら、私はゴラクシェプにすら来ることはできなかっただろう。
ますます、ツアー登山への参加意欲はなくなった。
ロブチェのロッジで、預かってもらっていた荷物を回収し、甘いお茶で休憩。
このロッジは、前回同様にやはり暖かい。
荷物の預かり代を請求されるかと思ったら、無料だった。
後から考えたら、チップを渡すべきだっただろうか・・・ お茶注文したからいいよね・・・
トクラ手前のお墓からの景色は行きでも確認したとおり素晴らしいので、写真を沢山とって一人はしゃいでいた。
一通り写真を撮り終え、満足顔でいたら、近くにいたネパール人のガイドさんと思われる人が、写真とってあげるよと声かけてくれた。
自分の写真は別にいいやーと思いつつ、せっかくのご厚意なのでお願いした。
そういえば、この旅では自分が入った写真はこれが初。色んな確度から撮ってくれ、どれも、山とタルチョと、押さえるべきものがちゃんと収められていて、なんて親切なんだ!と感激。
そして、このあとトクラに到着。
行きで泊まったロッジでランチ休憩。
ヌードルを注文してみた。4分の1ほど食べてあとは残してしまう。
少しでもカロリー摂取したかったので注文していた。沢山残してしまって申し訳ない気持ちでいっぱい。
やはり、次回はフリーズドライのにゅうめんを持ってこよう。
ガイドもポーターも雇わない自分は、ご飯を注文してはじめてトレッキングエリアにお金を落とすことになるのだけど、こんな山の中でごはんを残してしまうなら、お湯だけ頼んで日本から持参した食料を食べるべきだと心から思った。作ってくれている人の気持ちを考えると、とても辛かった。
申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど、少しカロリーを摂取できたことは嬉しかった。
これでもう少し歩ける!
行きで戸惑ったちょっとした渡渉も、2度目はなんとか一人で大丈夫。
ディンボチェへ戻るよりも、ペリチェに下ったほうが楽に見えたので、ペリチェコースを選んだ。
ディンボチェとペリチェへの分岐点には、印がなかった。
自分が見つけられなかっただけかもしれないが。
行きでその分岐点に気づかなかったので、きっと印がないだろうことを想定し、渡渉が終わった時点から、まめにGPSをチェックしていた。
GPSでチェックした分岐点からは、ひたすら下る。
ここからの道は、ほとんど人がいなかった。なぜだろう。まったく理由がわからない。
下りながら、ペリチェ方面への景色はとても素晴らしかった。
ここも、景色に吸い込まれるように前に進める。
目標地点のペリチェも目視できる。
途中、ゴミ箱が設置されているところで休憩した。
休憩地点には、ポーターらしき人が数人。
彼らの荷物には、大量のトイレットペーパーとか、ロッジで必要な物資が積まれていたので、荷揚げの途中なのだろう。
凄いジロジロ見られたので、何か話しかけたほうがいいだろうかとシャイな自分はあたふたしたが、
彼らが英語を話せなかったら、そのあとの展開が辛いなとか変に想像を膨らませてしまい、休憩もそこそこに会釈だけしてその場を去った。
だんだんと風が強くなる。
行きの、ディンボチェからトクラまでも強風だったことを思い出す。
そして、その強風の中で節々に痛みを感じ、そのあと発熱したことも思い出す。
風はさらに強くなり、前に進む速度は遅くなる。
あまりにも強い風にめげそうになった。
心ひそかに、ペリチェよりももっと下に下りられたらいいななんて思っていたけど、この強風でそんな思いは吹き飛んだ。
とにかく、ペリチェまで頑張ろう というのがこの時の目標に。
ペリチェは目視できているのに、歩いても歩いても全然近づかない。
休憩はいっぱいした。
ゴミ箱と、岩の椅子が用意された休憩ポイントでも、もちろん休憩。
そこには数人のポーターと欧米人のトレッカーがいた。
風が強すぎて、彼らの話声とか全く聞こえない。
ポーター達が去ったあと、欧米人トレッカー一人が残っていて、話しかけてくれた。
この旅ではじめて出会った、一人トレッカーだった。
出身はロシア。
下山中とのことで、この先の道程は一緒だ。
お互い一人だったので、一緒に歩きたいところだったが、私の体調不良のため、彼に歩行を合わせられないことは明らか。
彼は、この日のうちにパンボチェあたりまで下る予定とのこと。私もできればそうしたいが、もうけっこう疲労しているのできっとペリチェまでしか行けないと申告。
ということで、いったんここでお別れした。
このあと、強風のなか、ヒイヒイいいながらなんとかペリチェに到着。
まだお昼すぎの時間だったので、普通ならもっと下るだろう。が、もう私は疲労困憊していてペリチェ宿泊以外の選択肢はない。
宿の探し方として徹底していた、村に入って1件目からチェックするという自分掟を、ここではなぜか破った。
なんか、空き部屋があったとしても泊まりたくないなと直感的に思うところがあり。
いくつかのロッジを素通りして、ふらふら歩いていると、さきほどの休憩ポイントで出会った、一人トレッカーのロシア人が立派なロッジの前で立ってこちらを見ている。
再会の挨拶。
どうやら、彼はここで私を待っていてくれていたっぽい。
私は、もう疲労困憊していてこれ以上は歩けないからペリチェに泊まると申告した。
彼は、この立派なロッジを指さし、このロッジはとてもいいところだから、泊まるならここがお勧めだよ と教えてくれた。
行きで彼はこのロッジに泊まったとのこと。
きっと、これを教えるためにここで待っていてくれたんだろうなと思った。
なんて親切な人なんだろう。
お勧めされたロッジは、とても立派だったので、もしかして料金がすごく高いんじゃないだろうかと心配しながらも、中に入ってみる。
中もとても立派だった。
が、中に入ってもだれも出てこない。
営業していないのだろうか。
疲労困憊していたので、とりあえず椅子に座って休憩がてら待つことにした。
数十分待つと、やっとスタッフ登場。
とりあえず、お茶を注文した。お茶しているうちに、だんだん具合悪くなってきた。
ここで宿泊できるか聞いて、もちろんOKと歓迎してもらい、そそくさと個室へ。
明るくて清潔な部屋。共同トイレも清潔。
水が出ないのが残念だったが、このロッジは当たりだった。
さきほどのロシア人に感謝!
個室で少し休憩。寒い。
これまでのロッジでは、ダイニングのストーブは17:30が相場だったので、個室でシュラフにくるまって我慢。
宿泊客が多くない場合は、ストーブをつけてくれないというのも相場。
どうにも宿泊客は数名といった感じで少なかったので、ストーブはつかないかもしれない。
あまり期待せず、でも淡い期待を持ちながら17時ころにダイニングに行ってみる。
なんと、とても暖かい。
すでにストーブがついていた。
ストーブの前に座り、メニュー表をじっくり眺めていると、ストーブは16:00からつけますと案内表記があった。
メニュー表をもっと熟読すべきだった。
いつも、注文を終えるとすぐにメニュー表を取り上げられてしまうので、じっくり目を通すことはない。
この日以降、メニュー表を隅々までチェックする習慣がついた。
このロッジはとても大きく、大人数のツアー何組も宿泊可能かと思われるくらい大きい。
でも、ダイニングには個人客が数組いるだけでとても静かだった。
少ない客でもちゃんとストーブつけてくれるのは嬉しい。
ここ数日は超満員のダイニングで人酔いしっぱなしだったので、この静かな環境は久々で落ち着く。
夜ご飯には、茹でジャガイモを注文した。調子にのってwithバターとお願いしてみる。
ストーブの前は暑くなってきたので、少し離れたテーブルで食事を待つ。
まずはじめに、なんと、キャンドルが用意された。
そして、温かいおしぼりが渡される。
ええー!!これから高級ディナーがはじまるみたいじゃない!素敵ー!
フォークとスプーンとナプキンがセッティングされ、注文したゆでジャガイモがテーブルに。
こんな山の中でのステキなサーブにとても感動した。
しかし、私の体調は悪い方向へ。
待っている間に発熱してしまったようで、目の前の食べ物に気持ち悪くなる。
でも、食べないわけにはいかない。
こんな素敵な演出をしてくれて、withバターまでお願いしておいて、暖かい室内で、残すなんて絶対だめだろう。
と、自分に鞭をうち、食べ始めるも、2個ほど食べてギブアップ。
申し訳ないけど、無理なものは無理なので、残して部屋に戻った。
首を触るとかなり熱い。
もう、風邪薬は飲み切っていてなかったので、解熱剤を飲んで寝た。
まだ、ダイアモクスも飲んでいたので、深夜はトイレで数時間ごとに起きてしまう。
そして、咳が悪化してきていて、咳のせいであまり深く眠れない。
じゃっかん喘息気味にもなってきていた。
明日はナムチェまで降りたいけど、きっとプンキテンガで力尽きるだろうと予測。
標高はここよりも1000m下がるので、明日からはダイアモクスなしで大丈夫だろう。
そうすると、夜中にトイレに起こされることはないだろうから、数日ぶりに安眠できるはず。
たっぷり安眠できたら、少しは体力食欲復活するのでは とかすかな希望をいだきながら、この夜を過ごした。
続きはこちら >>エベレストBC トレッキング4(全5話)