2020年12月の1週間、山梨県早川町に1週間ワーケーション滞在しました。
早川町は南アルプスの麓の山間部にあり、人口約1000人と、「町」としては日本一人口の少ない町。
この町は「日本で最も美しい村連合」に登録されているので、どんなに美しいところなのか興味あって滞在してみました。
南アルプスの白峰三山を登る時に必ず通る町ですが、登山前は体力温存・登山後は疲労困憊で、いつもバスの中で寝てたので、何度かこの町は訪れてはいるのですが、景色を楽しむのは今回が初めてです。
この連合に登録されている「美瑛町」「原村」と過去に滞在してみて、これが同じ日本なのかと驚くほど美しいところだったので、早川町へも、かなり期待して行きました。
町全体の景観美という観点からは、美瑛町や原村で感じたほどの感動はありませんでしたが、住む場所を選ぶ重要性を実感したのと、なぜこんな不便な場所に町ができたのかという、この町の歴史にとても興味が湧きました。
本記事では、そんな早川町に滞在してみて感じたことを書いていきたいと思います。
早川町の場所・アクセス方法
早川町は、山梨県の西端にあり、JRの駅がありません。
JR見延線の下部温泉駅から、1日5便あるバスで向かいました。(はやかわ乗合バス時刻表はこちら)
早川町の印象
第一印象
JR下部温泉駅からバスに乗って早川町へ入ると、「日本で最も美しい村」の看板がありワクワクしてきます。
山と川のスケールが大きく、おおー!と思いましたが、どこまで行っても川沿いは工事現場となっていて、せっかくの美しい景観が台無し、けっこうがっかりしました。
また、山には電線や鉄塔が張り巡らされていて、それも景観という観点からはがっかり。
早川町は南北に1本の主要道路があり、このたった1本の道路が町外へと繋がる唯一の道。
この1本の道沿いに、ポツリポツリと集落がありました。深い山の中、たった1本の道沿いにポツリポツリと集落があるこの感じは、ネパールのエベレスト街道みたいです。
エベレスト街道と全然違うのは、この1本の道は常に多くの大型トラックが行き来していて、景観美や風情を楽しむという観点からはかなり遠いという点です。
私はバスで向かいましたが、この1本道を歩いてみようとか、サイクリングしてみようとかは絶対に危なくて無理、何よりも楽しくないと思いました。
自然の美しさを堪能しに来たのに、工事現場へやってきたという感じがしてしまいました。
それにしても、景観を邪魔している川沿いにあるこの工事現場みたいのは一体何なんだろう。山沿いのある電線や鉄塔も。
美瑛町は景観を大切にするために、できるだけ電柱を地中化までしてたのに、ここでは全てが剥き出し。
驚いたこと
早川町には、スーパーやドラッグストア、コンビニなど生活に欠かせないお店がなんと1軒もなく、食材の買い出しには町外へ出向く必要があります。また、病院もありません。
週末だけ営業している「おばあちゃんたちの店」という可愛らし名前のお店で、多少の野菜とカップ麺などは購入できますが。
廃墟村
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トレーニング兼ねて、宿の裏山の道を1時間ほど登ってみたら、なんと、廃墟村が!
たまたま家の手入れに来ていたおじいさんがいて、話を伺いながらこの廃墟村を案内してもらうことができました。
おじいさんは、何しに来たのかと私にびっくりしてました(笑)
この村に住んでた人はほとんどが東京電力で働いてたそうです。
水力発電の水溜めのところに入る落ち葉を取り除くという仕事があったそうですが、その仕事が機械でできるようになった時に仕事がなくなり、徐々にここから人がいなくなっていったとのこと。
落ち葉を取り除くだけの仕事が昔はあったのか!と、、、驚きました。
この廃墟村には廃墟が32軒。1軒居住。そしておじいさんのお家。おじいさんはこの家には住んでませんが、取り壊すにも費用がかかるので、時々こうして清掃に来てるとのこと。手放したいけど手放せなくて困ってる、まったく負の遺産だよと苦笑いされてました。
中を見せてもらいましたが、住むことはできそうです。一瞬、貸してもらえませんか?と言ってしまいそうになりましたが、周りが廃墟の中に一人でここに滞在なんて、ホラーもいいところだと冷静になり何も言いませんでした。
赤沢宿が素晴らしい
早川町の唯一の主要道路周りは工事現場だらけでちょっとがっかりしてしまいましたが、赤沢宿という集落はとても素晴らしいところでした。
赤沢宿は、重要伝統的建造物群保存地区。
早川町のバス路線からは離れていて、バス停からは徒歩40分ほどの登り道です。車があれば歩く必要はないですが、私は車がないので歩いて訪れました。
途中で猿らしき動物を見かけて怖くなったので、すれ違った地元の人に聞いたら、登山用のストックでガードレールを叩きながら歩くといいよとアドバイスいただきました。私が持ってた小さな熊鈴は音が小さすぎるとの指摘も。
ガードレール叩きながら辿り着いた赤沢宿は、タイムスリップしてしまったかのような素敵な集落。時代劇のセットがそのままという感じ!
歩いてきたせいもあり、感動が大きい。
道は石造りになっていておしゃれです。
公民館もおしゃれ。
集落は坂道しかなく、散歩するたびに息がきれました(笑)
この坂道しかない集落、石造りの道、古い建築物、山が見える風景、なんとなくエベレスト街道のナムチェみたいです。
狭い山間部の特徴
早川町は、川沿いの工事現場はちょっとがっかりですが、全体的には素敵なところです。が、山深いため、太陽の光を浴びれる時間がとーっても短いのが難点。
だいたい、朝10時頃にやっと太陽が見えて、午後14時頃にはもう太陽はお隠れに。
普段当たり前に感じていた朝焼けや夕焼けを感じられないのは辛すぎる。これは人それぞれ感じ方があると思いますが。
また、360度、けっこうな近距離で大きな山に囲まれてるので、私は逃げどころのない圧迫感を感じました。
ということで、私がもし定住するとしたら、山間部は無理と学びました。
早川町で滞在した宿
早川町で滞在した宿は、2箇所。
廃校をリノベして作られた町営の温泉宿「ヘルシー美里」と、築180年の古民家宿「大阪屋」です。
どちらの宿も、決して他の場所では味わうことのできない宿。面白そう!どんなところだろう!と興味津々で宿泊しました。
廃校をリノベした温泉宿
廃校が温泉宿に生まれ変わり、それが町営だなんて凄い! と、早川町への興味とはまた別に興味がわき、5泊宿泊しました。
外観は綺麗にリノベされていましたが、内装は学校だった面影がけっこう残っていて、懐かしい感じです。
私のお部屋は「2年1組」。大きな窓からは広い校庭と山が見え、居心地は抜群!
PC作業用に借りた机がまたとても懐かしい机!
一人部屋としては広いですが、教室としては狭い部屋。リノベの時に壁を作ったのかなあと想像してました。
温泉は離れにあり、露天はありませんが、内湯からも山が見えて温度も適温で心地よかったです。とても心地いいので、毎日朝と夕方の2回入りました。
この宿で驚いたことは、スタッフのほとんどが若いということ。ネイチャーガイドを兼任してる人がほとんどで、とても爽やかな空気が流れてました。
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築180年の古民家宿
重要伝統的建造物群保存地区となっている赤沢宿にある築180年の古民家宿に2泊しました。
築180年の家に泊まれるって凄い!という興味から。お部屋からの景観も期待大にして訪れました。
実際には、お部屋からの景観はもちろん素晴らしかったのですが、外とお部屋の間にあるのは障子扉2枚のみ!
なんと、ガラス窓がないんです!!築180年となると、ガラス窓はないのか!と驚きでした。
そして、12月のこの季節は普通に寒いので、ほとんど障子扉を閉めて過ごしたため、お部屋から景観を楽しむことはほとんどできませんでした(涙)
日中はまだ暖かかったので、扉を開けて、これぞワーケーションという感じで過ごしてみましたが、山間部のデメリットで日照時間は10時〜14時のたったの4時間ほど。14時すぎて太陽がお隠れになると途端に暗く寒くなり、残念ですが障子扉を閉めました。そして、景観のない中、黙々と仕事しました・・・
夜。
下界とお部屋との間には障子扉2枚のみ。灯油ストーブは自動的に切れてしまうので、ストーブなしとほぼ同じ。
湯たんぽ入れて寝ましたが、頭がとにかく寒くてあまりよく眠れませんでした。
ここで、お部屋からの景観を楽しみたい場合は、春・秋くらいがベストだと思います。
早川町の歴史
これまで色んな地域に滞在して、その地域の歴史について興味を持ったことは一度もありませんが、早川町はとても興味が湧きました。
なぜこんな日照時間が短くて不便なところに人が住み始めて町ができたのか。
そして、川沿いにある景観を台無しにしてる工事現場は一体何なのか。
そこで、早川町役場が発行していた昔のパンフレットがPDF化されてネットで閲覧できたので読んでみました。
廃墟村で出会ったおじいさんが言ってたように、やはり、早川町は水力発電の仕事で一時期栄え、そしてその仕事が無くなっていくと共に過疎化していったようです。
川沿いの工事現場は、水力発電所と製砂工場でした。景観台無しと感じて申し訳なかったです。
便利な暮らしと美しい景観の両方を求めるというのはとても大変なことなんだなとしみじみ思いました。
文献の他に、なんと動画もありました!今回私が滞在した、廃校をリノベした宿が、建設されたばかりの時の映像も残ってました!
まとめ
ただただ、住みやすくて景観が素敵な場所を探してノマドを続けていますが、今回の滞在では歴史にまで興味を持てたことがとても良かったなあと思っています。
素敵な場所は沢山の先人達が苦労して築き上げていった証ということを忘れずに、感謝して、また色んな地域を訪れていきたいなと思うようになりました。
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