2019年3月に登頂したネパール メラピーク(6,476m)の私的な山行日記です。
登頂のために必要な費用やスケジュール・利用した現地旅行代理店情報など、概要は下記にまとめています。
目次
Day1 羽田ー広州ーカトマンズ
中国南方航空、広州経由で羽田からカトマンズへ。
中国の航空会社の機内食は美味しくて楽しみになる。
座席にモニタがなくてがっかりしたが、iphoneは飛行機モードであれば使用OKなので、音楽聞きながらずっと読書していた。
定刻どおりに羽田を出発したが、広州へ着くと天候不良で着陸できず、桂林へいったん着陸。
中国語のアナウンスとともに英語のアナウンスもあったが、早口&音が籠りすぎて何を言っているのかさっぱりわからなかった。
窓から見える空港周辺の景色は、とても国際空港とは思えないド田舎の風景が広がっており、ホテルがあるともとても思えない風景に焦りに焦りまくった。
急いでiphoneのGPSアプリmaps.meで現在地を確認すると、広州ではなく桂林というところに着陸している。
頭の中は?????? で大混乱。
すると、隣に座っていた中国人が中国語で状況を説明してくれたが、もちろん全くわからない。中国語の翻訳ソフトをiphoneに入れていなかったことをかなり後悔した。
隣の中国人はまったく英語が話せない。
私は諦めようとしたが、なんと、漢字を書いてくれたり、詳細天気予報を見せてくれたり、ジェスチャーで必死に説明してくれ、やっと私にも状況を理解することができた。
なんて親切な方でしょう!とても嬉しかった。
「天気が悪くて広州へは着陸できず、いったん桂林へ着陸したが、2時間後に天気は良くなる予報なので、桂林で燃料補給をしてからまた広州へ出発します。出発まで機内で待機するように」 とのことでした。
ホッとして機内で待機。
広州へは3時間遅れで到着。トランジット時間は4時間とってあったので、乗り換えには1時間あるが、とてもじゃないけど足りない。もう広州で一泊しなければならないかなーと覚悟していたら、優先してチェックインできたので、駆け足でなんとかカトマンズ行きの飛行機に滑り込みセーフ。
4時間のトランジット時間で、プレミアムラウンジを堪能したかった要求は満たされなかったけど、本日中にカトマンズへ行けることにほっとした。
カトマンズ行きの機内では、各座席にモニタがついていたので映画を一つ鑑賞。
トランジットで食事をする予定が、遅延で食べられなかったので、この日は食べ物のことで頭がいっぱいに。機内食も出たけど、機内食だけじゃ足りない。こんなときのために、お菓子は持ち込みしようと学習した^^;
カトマンズへは深夜の到着。
荷物はロストバゲージが嫌なので機内持ち込みできるバックパック一つだけだが、到着当日にどうしてもワインを飲みたかったので、小さなワインボトルと少々のおつまみだけを小さな段ボールに入れて預け荷物にしていた。
ちゃんと届くかなあと疑問だったが、ちゃんと届いていた! 無事、この日はホテルでワインを飲んで締めくくり。
Day2 カトマンズ
カトマンズでは、お気に入りのホテル”HOTEL KATHMANDU HOME NEPAL”に宿泊。
ゆっくりめに起床して、まずは日本からメールで予約していた旅行代理店Asian Hiking Teamへ。
メラピーク街道の状況を聞くと、ザトワパスは大雪で通行できないとのこと。南側をぐるっとまわるルートで行くよう勧められた。
南側ルートについてはネット上の情報がほとんど見つけられなく、ロッジがどのあたりにあるのかということや、登山道が安全かどうかの確認ができていなかった。
そのため、一人で歩くにはかなり不安要素しかなくどうしようかなと思っていたら、英語が少し話せて道とロッジ状況も知っているポーターを紹介されたので、お願いすることにした。
代理店へ支払う総費用は高額なためクレジットカードで支払うつもりでいたが、手数料5%と高かったので現金支払いに。
しかし・・・・ 私は日本円の現金を多くはもってきていなかったので、ATMでキャッシングしてネパールルピーをかき集めた。
ネパールのATMキャッシングは、一度に引き出せる上限がだいたい2~3万円で、キャッシングするたびに手数料500RSがかかる。しかも、ATMに現金が入っていないことが多く、総費用をキャッシング完了できるまでにいくつものATMをかけまわり、1時間ほどかかってしまった。この手数料とかけまわる時間とエネルギーを考えると、クレジットカード支払いで良かったなと思った^^;
また、総費用はUSドルで計算されていたので、それをネパールルピーへ変えるときのレートがおかしかった。事前にタメルの両替店の掲示を写真に撮ってあったので、不利なレートだと抗議したが、銀行のHPを見せられて反論できず。今思うと、あの銀行のHPは当日のものではなかったと思う。
と、ちょっと細かい話ですが、支払いは日本でUSドルのキャッシュを用意しておくのが一番安く、エネルギーも消費せずにすんだな という感想です。
次回は全額USドルキャッシュで支払います。
旅行代理店で申し込んだ内容はこちら
- メラピーククライミングパック(登山許可証取得代理・3日間のクライミングガイド斡旋、クライミング時のテントと飲食費)
- ポーター(21日間)
- トレッキングギアレンタル21日間(シュラフ・軽アイゼン・極厚ダウン)
- クライミングギアレンタル3日間(12本アイゼン・冬山登山靴・ハーネス・アッセンダー・エイトカン・カラビナ・スリング・ピッケル)
- 航空券(カトマンズールクラ往復)
旅行代理店での確認と支払い完了後は、トレッキングポールをタメルで購入。2本で1200Rs。
このトレッキングポール、見た目は綺麗だったが、かなり使えなかった。毎日10回くらいは故障したし、長さ調節を頻繁に行うことは不可能だった。
以前タメルで購入したトレッキングポールは安くてとても良い品だったので、がっかり。
タメルで安いトレッキングポールを購入する際は、品質チェックは入念にされることをお勧めします。
スーパーで、高山病で食欲不振になった時用にゼリーを多めに、あとは行動食としてナチュラルバーを20本、プリングルスを1本購入。(ポーターをお願いしたので、荷物の重さに対してオープンな気持ちになっていました)
スーパーの隣にあった薬局では、ダイアモックス(アセタゾラミド)20錠と下痢止めを購入。全部でなんと400Rs(400円ほど)!日本でダイアモックスを購入すると20錠で最低4200円はするので、激安。
20日間の山行に使うキャッシュ。約11万Rs。高額紙幣がないので、持ち歩きに不便。こんなに使わないよなあと思っていたけど、カトマンズへ戻ったときいにはスッカラカンでした。
ご飯はレストラン桃太郎で最後の日本食を堪能。相変わらず美味しい。
そして、最後のシャワーをホテルで浴びて就寝。
Day3 カトマンズールクラープイヤン(2840m)
ホテルでテイクアウトの朝ご飯をもらい、カトマンズの国内線空港へ。
売店もあります。
ファーストフライトは予約してもらえなかったので、きっと遅延するなと予想していたが、予想通り2時間の遅延。
この遅延、自分はいったいいつ飛行機に乗れるのか予想がつかなくて、電光掲示板などの案内もなく、つねに耳を澄ませてアナウンスを聞いていなければならないのがいつも困る。
しかも、そのアナウンスはとても聞き取りにくい。そのため、待ち時間はずっとストレス状態です。
でも、たったの2時間の遅延でルクラへ行けてよかった。
ルクラへ到着すると、ポーターが待っているはずなので探す。が、すでに隣にいた 笑。
事前に代理店に聞いていた情報だと、私と同じくらいの身長とのことだったが、実際に会うと、私よりもはるかに小柄で愛嬌たっぷり。
私の想定では、がっしりした体形で寡黙そうな山男がやってくると思い込んでいたので、まったく正反対な人が現れて慌てふためく。
こんなに小さい人に重たい荷物を背負わせるなんて可能なのだろうか!!! と一気に不安になる。
いったん彼と空港近くにあるタラロッジへ向かい、そこで荷物を振り分ける。
代理店情報では30kgまで背負うと聞いていたので、てっきりほとんど全部の荷物を背負ってくれるものとばかり思っていたのに、なんと、半分ほどしか背負ってくれない!!
軽くて嵩張るものは、私が背負うように指示された。
??? と思ったが、ポーターを雇った目的は、半分でも荷物を背負ってもらえたら嬉しいということと、ロッジ情報を教えてもらいたかったこと、そして、誰も歩いていないであろう山道で山賊みたいな軍団に襲われないように(笑)いてほしかっただけなので、良しとした。
ポーターのザックの中身は、95%が私の荷物。残り5%はポーター自身の着替えと歯ブラシのみ。
なんて身軽なんだろうか!
感心するとともに、雨が降ったらいったいどうするんだろうと心配になり、問いただすと、Its OK とだけ返答がくる。
雨具すら買えないほど貧困なのだろうかと心配した。
荷物の振り分けが完了し、さっそく出発!
と思ったら、ルクラの商店街で買い物をはじめるポーター・・・
サングラスと雨除けのための厚めのゴミ袋を手に入れていた。
なぜサングラスも持っていないんだ!? この人大丈夫なんだろうか・・・・ と同情しつつも心配になる。
彼の全身装備は、バックパック以外は山用の装備ではない。帽子も被っていなければ、靴は普通のスニーカーだ。
不安いっぱいな中、やっと山道へ出発。エベレスト方面とは反対、ジリ方面へ向けて歩く。
ポーターとは少し距離を置いてずっと無言で歩き続けるのかと思っていたら、親しげに話しかけてくれびっくり。そして、カタコトではなく、流暢な英語にまた驚き。親切そうなので徐々に安心できた。
ルクラ出発時には、色んな現地の人たちに声をかけられていた。現地語だったので、何を話ししているのか全然わからなかったけど、きっと、
現地の人「どこへ行くの?」
ポーター「メラピークだよ」
現地の人「気を付けてね!」
みたいな会話かなと推測。ポーターはルクラから歩いて1日ほどの村に住んでいるので、きっとここらへんの人みんなと知り合いなんだと思う。
なんか、村中の人たちから温かく見守られている感じがありほっこりしたとともに、さらに安心してきた。
こんなあたたかい村社会で生きている人なら、きっと誠実に対応してくれるだろうと。
ルクラを出て、ジリ方面へひたすら下っていくと、荷揚げ中のロバ集団にしょっちゅう遭遇する。過去にエベレスト街道など歩いたときもよく遭遇したが、今回出会った動物たちは、なぜか私に向かって突進してくることが多く、そのたびに、ポーターが体を張って守ってくれる!まるでお姫様扱いされているような気分。
この人、ポーターとして雇ったのに、ガイド並みに守ってくれるではないか!と感動。
この日はプイヤンのロッジで宿泊。
ここはまだエベレスト街道のため、宿泊費は安い。夜・朝ごはんと宿泊費で1450Rs。Wifiあり(カード式)
エベレストBCとゴーキョへ行くという日本人の女性と会ったので、夜は色々と話できて楽しかった。夏には日本の山小屋で働く予定だと聞いたので、ぜひ夏山に訪れてみたい。
食事の味は、さっそく不味い。まだ高山病にはなっていないから、純粋に不味い。山中で温かいご飯が食べられるだけで感謝しなければならないのだけど、、どうしても不味い。
初日からあまりご飯を食べられずに焦った。
翌朝は、料理の腕が問われないミューズリーを注文する。以降、サミット完了するまでは、毎朝必ずミューズリーを注文した。これが間違いなくていい。
Day4 プイヤンーパンゴン(2804m)
快晴。
この日もロバの往来が多く、そのたびに王子様のようにポーターが私をしっかりと守ってくれる。
そして、途中ジリ方面への分岐を右へ。崖のようなところを登る。登れるけど下りは無理だなと思った。
メラ街道の入り口は、エベレスト街道とは比較にならないほどの粗末な登山道。この時は入り口だけだと思っていたが、これがこの先沢山出てくることになるとは・・・・。
ここからは、ロバの往来もなく、一気に静かになる。ツーリストと出会うことはなく、時々現地の人とすれ違う程度。
動物のフンだらけの道からも解放され、心地いい。
こんな気持ちのよい場所にティーハウスが一件。ここでランチ休憩。
と、静かで綺麗でいいなと思っていたのも束の間。
足の置き場が半分くらいしかないような超絶細い崖っぷちトラバースが多々現れる。絶対に一人では通過できない。
固定ロープがあってもおかしくない、日本だったら鎖場となっているはずなようなところ。
ビビってる私を察して、危険個所はポーターが荷物をすべて背負ってくれ、さらに、体を張って私が無事通過できるようにサポートしてくれた。
彼がいなければ、私はここで敗退していたこと間違いなし。
ポーターだとばかり思っていたのだけど、ガイド並みのサービスに驚いたとともに、かなり感謝した。
荷物は半分しかもってくれなかったけど、ここまでサポートしてくれるなんて、200%の満足度だ。
17時、パンゴン到着。
牧歌的な風景、とても美しい村!
この日のロッジは外観が新しくてテンション上がったが、内観は普通だった。トイレは離れに。
ご飯は美味しくてほっとした。宿代は夕食・朝食合わせて2220Rs。
この村から少し登ると寺院があるので行ってみるといいよとロッジの人に勧められたが、トレッキングでヘトヘトだったのでパス。
このロッジで、メラピークへ行くという、とてもパワフルなフランス人に出会う。
そして、隣にはイランの女性。彼女はエベレストBCへ一人で行く予定だったが、このフランス人に出会い誘われるがままにメラピークへ向かうことにしたとのこと。
日数も伸びるし、クライミング要素も加わり追加費用もけっこうかかってしまうのに、よく予定変更してついてきたなあと感心。しかも当然ながら地図をもっていないので、ちょくちょく私の地図を見ていた。
Day5 パンゴンーラマイロダダ(3276m)
快晴。
この日は危険個所はなかったが、道は歩きにくく、不明瞭な個所が数か所。一人だと迷ったかもなと思った。
昨夜ロッジで知り合ったフランス人とイラン人となんとなく一緒に進む。
ロッジ建設中のシブチェを通り過ぎ、Peseng Kharka Dandaでランチ休憩。ティーハウス一軒。
そのあとのニンソーのロッジはクローズしていた。一人暮らしのお婆さんがたった一人で住んでいたので、万が一の時は泊めてもらえるのかも。
ニンソーで休憩し、1時間ほど歩くとラマディオダダに到着。14時半。
とても見晴らしがよく、ここではじめてメラピークが見える。
ロッジは2軒あったが、どちらもクローズしている。ガイドが電話で予約してくれていたようで、ロッジのスタッフがこのあとどこかの村からやってくるという。
ああ~、やっぱり一人で来なくて正解だった。
フランス人とそのガイド、イラン人、私と私のポーター、いや、もやはガイド、5人でロッジスタッフがやってくるまで、外で待機。
天気が良く暖かかったので、日向ぼっこ。
2時間くらい待っていたので、自然とスタッフがもし来なかったらどうする という話題に。
鍵がかかっていない部屋が2部屋あるので、女性男性分かれて一夜を明かすことは可能だそう。シュラフを持っていない人が2人いたので、みんなでからかっていた。
そんな会話をしていたら、スタッフの男性が大きなザックを背負って到着。
なんて大変な仕事なんだろう。重たい荷物を背負って山へ登り、そして、ロッジを開けて客の世話をし、料理を振舞わなければならないとは。
でも、彼は笑顔満点。みんなもホッとする。
夕方、なんと焚火サービスが! ネパールの山で焚火だなんて、なんて贅沢!焚火だけでもかなり嬉しかったのに、さらにジャガイモを焼いて食べるというサービスまで!
このロケーションでの焚火に焼き芋、最高すぎます。
いやあ、いい雰囲気だ~♪
知り合ったフランス人もイラン人もいい人そうだし、このままみんなでメラピーク登頂できたらいいな なんて思っていたら、
フランス人とイラン人が真剣に口論をはじめていた。
内容が難しすぎて、カタコト英語しか話せない私には何を口論しているのかさっぱりわからなかったが、なんだか険悪ムードに・・・・
夜ごはんを食べ終わると、フランス人は早々に自室へ行ってしまった。
この日の宿代は、夜・朝ごはん合わせて2670Rs。
続きはこちら >>メラピーク登頂 山行記録2(全5話)