2019年3月に登頂したネパール メラピーク(6,476m)の私的な山行日記3です。日記2はこちら
登頂のために必要な費用やスケジュール・利用した現地旅行代理店情報など、概要は下記にまとめています。
Day11 タグナーカーレ(5100m)
晴れ→雪
カーレへ向けて出発。頭痛はなく食欲もバッチリなので、今のところ高度順応は順調だ。
この日の道のりは、開放的な景色の中、少しづつ高度を上げていく。900mほどの登りとなるが、そんなに登ったという感じはしなかった。
ただ、標高5000mともなるので、フラットな道でも息はきれてしまう。
カーレの手前の上り坂にさしかかる前にティーハウスが一軒。
ここでランチしたかったが、中学生ほどの少年が店番をしていて、料理はできないとのことだったので、お茶休憩のみ。
お茶休憩している間、シェルパたちはビリヤードのようなゲームを楽しんでいた。
カーレに到着すると、みんないた!
みんな高山病になることもなく元気。宿泊ロッジが違ったので、少し談話したあと、ロッジへ向かう。
カーレでの宿泊は、カトマンズの代理店で申し込んでいたクライミングガイドがいるロッジへの宿泊となる。
私は、奥にある「HOTEL MOUNTAIN VIEW」というロッジへ。
綺麗で広々としたロッジだった。
客は私一人。
このロッジを経営するクライミングガイドが出迎えてくれる。
50代くらいの男性。寡黙な感じで、英語を話すけどちょっと聞き取りにくい。
プライベートガイドを申し込んでいたので、この先はこの寡黙な男性と二人きりで登るのかと思ったら、少し不安で寂しくなってきた。
(コックやテントポーターが一緒に登るということをこの時は知らなかったので)
荷物を部屋に置いて落ち着いたら、みんながいるロッジへ遊びに行ってみた。
イランの女性は毛布にくるまっており具合が悪そう。どうやら高山病で頭が痛いらしく、ダイアモックをもらって休んでいるところだった。
フランス人とオーストラリア人は元気だった。特にフランス人は70歳近いというのに、ダイアモックスも飲まずにこの高度で元気なんだから驚き。
このロッジでは、焼き立てパンやドリップコーヒーが楽しめるという看板があったので注文しようとすると、天候不良で電源がないため作れないんだと言われました。残念!
夕刻、ストーブが付けられたタイミングで自分のロッジへ戻る。
やはり客は私一人。
静かに寂しく食事をしてると、イランの女性がやってきた。
彼女は高山病で頭痛がするため、明日ハイキャンプへ向かうみんなとは一緒に行けないとのこと。今ダイアモックスを飲んでいるので、明日1日カーレで様子を見て、明後日から登りたいので、私とジョインしたいという申し出だった。
なんか、トレッキング中も一度同じ申し出を受けたような・・・ そして、勝手にいなくなったよね・・・という記憶が・・・
なんだか勝手な人だなあと思いがよぎりつつも、クライミングガイドと二人きりで登るのは不安で寂しいなとも思っていたので、私の遅いペースに合わせてくれることを条件としてOKとした。
また、女性同士というのも安心感があった。きっとテントも一緒だろう。風が強いだろうハイキャンプで一人テントは吹き飛ばされる心配が大きく不安なので。
Day12 カーレ
晴れ
朝、頭痛はなく食欲もバッチリなので、高度順応は順調だけど、周辺を少し散歩すると、息の切れ具合が激しい。
空身で平地を歩くだけで、ゼエゼエ言ってしまう。こんなんで、翌日からメラピーク登れるのだろうか・・・
と、散歩していると、トレッキングガイドがやってきて、彼も2000Rsでクライミング道具一式を借りてサミットまで登れることになったと喜んでやってきた。
カーレからメラピークまでの、彼に対するサポート料は払っていなかった。(カーレでの待機料としての日当はもちろん払っている)
ちょうど、荷物を持ってくれるポーターをお願いしなければと思っていたところだったので、追加費用を払い荷物を持ってもらうことにした。
ポーター費(2日分)と彼のクライミング道具レンタル費あわせて6000Rsを支払い。荷物は全部ではなく半分持ってもらうことに。
ここまで10日以上も一緒に歩いてきてサポートしてくれてきた人なので、私には仲間意識があり、一緒に頂上へ登れることになったのはとても嬉しかった。
最初は荷物は持たないけどあなたを全力でサポートします なんて言われたので驚いたが・・・ 何をサポートしれくれるのよ・・・・
クライミングサポートはクライミングガイドがしてくれるし、メラピークにも、それ同等の山にも登ったこともないあなたに技術サポートは何一つ望んでいない。
荷物を持ってくれないのであれば追加費用は払わないと言い、やっと半分持つと了承されました。
お昼前に、クライミング道具一式を借りてロープワークを習う。
冬山用登山靴はてっきりプラスチックブーツが出てくると覚悟していたのに、きちんとしたブーツが用意されていて嬉しい!
他のロッジはプラスチックブーツなので、このロッジで良かった!サイズも豊富で、私の足にぴったりな靴をレンタルできた。
ちなみに、日本のツアーではダブルブーツを用意するように書かれていることが多いですが、日本の冬山登山で使用するシングルブーツでした。
寒さは全く気になりませんでした。
レンタルしたのはこちらのブーツ↓
(イランの女性は、このブーツをルクラからはいて歩いてきていました)
ハーネスはちょっと古めだったが問題なし。カラビナ類はとても綺麗だった。
ひととおりのグッズを選び終わると、裏山でアッセンダーでの登りと、エイトカンを使った懸垂下降の練習を2回ほど。
ハーネスを装着後でも、後ろのヒモ2本を簡単に外せるところがあり、トイレの時はそこを外すだけでいいということをイラン女性が教えてくれた。彼女はロッククライミングを愛するクライマーだった。
これまで10年ほど登山をしてきて、もちろんハーネスを使用することもしょっちゅうあったのに、ずっとこの事実を知らなかった・・・
お昼ご飯を挟んで、午後はすべての装備をクライミングガイドがチェックし、足りないものは貸出してくれた。
私は、下記を追加レンタル
- 極厚のダウンパンツ(500Rs/3day)
- ダウンミトン手袋 無料
- ゴーグル 無料
- ダウンシュラフ (1000Rs/3day)
シュラフはカトマンズの代理店でレンタルしていたのだけど、ダウンではなく化繊で、とてもじゃないけど寒くてハイキャンプで耐えうるものではなかったので、ここで借りなおし。良心的な価格で嬉しい。
ひととおり、サミットまでの準備が終わっても、まだまだ時間はあったので、ネパール風ビリヤードを体験する。けっこう難しい。
1ゲームで疲れ果てて、あとはずっと見学していた。
ルクラからコーテまでヘリで移動してきたリッチそうなスイス人が、ハイキャンプから戻ってきた。
屈強そうな男性だったが、ハイキャンプから上は隠れクレバスが沢山あり、彼のガイドは通過可能かどうか判断できなかったそうで、サミットを諦めて戻ってきたとのことだった。
メラピークは簡単とばかり思っていたので、こんなに屈強な男性が登れなかったんだから、私はきっと無理じゃないかと心配になる。
しかし、、一緒に登るイランの女性は聞きこみ調査に余念がなく、
「スイス人のガイドはメラピーク専門のガイドではないから、隠れクレバスがわからなかったけど、私たちのガイドは数えきれないくらいメラピークに登頂している専門ガイドだから大丈夫よ!」
とのこと。そして、私たちのガイドにも直接聞いていて、
「私たちのサミット日は天気もいいので、体調さえよければ登頂できる と断言してたから、私たちは登頂できる!」
と目を輝かせている。そして私も安心する。
夕方、ガイドたちはテントの準備をしている。
私はてっきりハイキャンプには立てっぱなしのテントが用意されているものだとばかり思っていたので、まさか、テントを背負わなければならないのか!!! と焦り始める。
キッチンテントも立てっぱなしで、ガスや食料もすでに用意されていて、コックはずっとハイキャンプに滞在しているものとばかり思い込んでいた。
聞くと、ハイキャンプは風が強く、テントを放置しておくと飛ばされてしまうし、テントを畳んでデポしても雪で埋まって探し出せなくなるため、毎回担ぎ上げているとのことだった。
だ、誰がそのテントを背負うのか!! 日本で使用している軽量小型のテントではなく、大きくガッチリとした重たいテント。私は背負えない。
キッチンテントに、ガスや食料は誰が背負うんだ!?
そして、客二人のためにわざわざコックも同行してくれるということ!?
かなり不安になり、一緒に登るイランの女性に尋ねてみたら、コックがすべて背負うんじゃない?と、呑気な返事が返ってきた。
夜ご飯の時、知らない現地人が数人ロッジへやってきて、一気に賑やかに。
テントやガスなどは、ポーターが背負ってくれることだった。
ホッとするとともに、てっきりクライミングガイドと二人きりで登るとばかり思っていたので、賑やかな登山隊となることにさらにホッとする。
クライミングガイド、トレッキングガイド、コック、ポーター、イラン女性のマリアン、私 の6人で登ることになる。
客2人に対して、スタッフが4人。もし客が私一人だけだったとしても、スタッフの数は変わらないだろうから、ヒマラヤの山を登るということは大変な騒ぎだなと思った。
↓ダイニングにあった調味料(?) 高山病予防にいいと言われている現地の香辛料。ガーリックスープに混ぜてみたが、さっぱりしたピリ辛で美味しかった。
スパイシーが苦手な私ですが、これは美味しい。
ロッジの感想(HOTEl MOUNTAIN VIEW)
みんなが泊まっていたRefuge lodgeと比べると、食事メニューが少ないですが、味はとても美味しく完食できました。コックの方は笑顔が素敵なイケメンです。
そして、家族経営のためか、スタッフの方たちはとてもあたたかく、ホッとできる感じがありました。
押し売りされるようなことはなく、控えめだけれども、必要なサポートはしっかりしてくれるし、なによりも笑顔がとっても素敵です。
登山靴はプラスチックブーツではないですし、もし個人でメラピークを検討されている方がいらっしゃいましたら、このロッジとクライミングガイドはとてもおススメです。
後からきたマリアンは、他のロッジから移ってきたのですが、他のロッジはチェーン店なのでスタッフは冷たい感じがしたけど、このロッジはみんなあたたかくてホッとできると言っていました。
トイレは室内にあります。
Day13 カーレーメラハイキャンプ(5800m)
晴れ→曇り
8時過ぎにカーレを出発。マリアンは高山病の頭痛もとれて元気になっていた。
メララまでは普通のトレッキング道。難所なし。
休憩時に、すでに息が切れている私の荷物の重さをクライミングガイドがチェック。まだ使用していないアイゼンとピッケルは、トレッキングガイドが持つように指示してくれた。
トレッキングガイドはやや不満そうな顔をしていたが、クライミングガイドはビシっと、「お前は彼女のガイドなんだから持ちなさい!」と問答無用の指示をしてくれた。
アイゼン装着ポイントで、昨日ハイキャンプへ向かったフランス人とオーストラリア人と再会。
強風でサミットは諦めて戻ってきたとのことだった。
ガイド登山で驚いたことの一つに、ハーネスとアイゼンの着脱をしてくれることがある。
ハイキャンプはどうだったかなどフランス人と会話しながら、彼のガイドがせっせとハーネスとアイゼンを脱がせてくれている姿に驚くとともに、私のガイドもハーネスとアイゼンの装着をしてくれている。
なんだか申し訳ないので自分でやろうとしても、不慣れで手間どっているうちに、助け船がすぐにやってくる。
アイゼンとハーネスを装着してからの道は、雪山。
細い固定ロープが張ってある急斜面を登り、そのあとは時々氷のトラバース。
氷が怖くてビビッていると、すぐにクライミングガイドが隣にやってきて、腕をつかんで支えてくれる。
大丈夫、大丈夫!と励ましてくれながら。
トラバースが終了すると、スケートリンクのような氷の斜面が一面に広がっている!?
なんだこれは!!!!!
今シーズンから、ブルーアイスと呼ばれるとても固い氷の斜面が出現したとのこと。
ここからは、ガイドとロープで繋がり、慎重に登る。
天気はガスの真っただ中で全然方向がわからない。が、ガイドは迷うことなく前へ進む。流石だ!
時々ガスが晴れて、ブルーアイスの全貌が見える。
なんて美しい光景なんだろう。
でも、これ、登りはいいけど下山するの怖いな・・・。
ブルーアイスが終了してからは、歩きやすくだだっ広い斜面を2時間くらい? で、ハイキャンプへ到着。
時刻は15時。
カーレからハイキャンプまでは7時間かかった。
このペースはいいのか、遅すぎるのか、クライミングガイドは、いいペースだと力強く言ってくれた。
ハイキャンプへ到着時には、まだポーターとコックは到着していなかったので、しばらくは外でぼーっと待っていた。
極厚のダウンを着ていれば、太陽も出ていたので寒くはない。
それにしても、息が苦しい。
テントは自分たちで立てるのかなあと思っていたら、ガイドたちが設置してくれた。
マリアンと2人で使用するのだけど、とても広くて快適。
テントでしばらく休んでいると、お茶が2度ほど、そのあと軽食も運ばれてきた。
なんて快適なサービスでしょうか!
しかし、マリアンはまた高山病で頭痛が酷くなり、かなり具合悪そう。
そして、私のトレッキングガイドもなんと高山病で頭痛に悩まされている。シェルパでも高山病になるのか!?と驚いた。
2人とも薬を持っていなかったので、ダイアモックスをあげた。
マリアンはダイアモックスを2錠飲み、それでも頭痛がおさまらないので、痛み止めも飲みたいと言われたので、日本の鎮痛薬をあげた。
さらに、コックは下痢ではないがお腹の調子が悪くなったので薬が欲しいと言われ、整腸剤をあげた。
こうして、みんな調子が悪くなってしまうハイキャンプ。それにしても、なぜみんな薬を持っていないのか不思議だ。
私自身の体調は、頭痛なし・食欲ありで、高山病の心配はなかった。が、食後に少し頭が重たい感じがしたので、この日の夜は、念のためダイアモックスを半錠ではなく1錠飲んだ。
キッチンテントは広々。
夜ご飯はダルバートのような、ご飯に消化によさそうな豆スープのようなものをかけた料理がでた。
コックは調子が悪くなって休んでいるので、とても屈強そうな男性ポーターが作ってくれる。
美味しく完食!
食後は寝るまでお湯を沢山飲み、高山病にならないように必死だった。
ハイキャンプにはトイレがあったので、安心して沢山お湯を飲める。
翌日は、トレッキングガイドは高山病のため同行できなくなり、代わりに、この屈強そうなポーターが同行してくれることになった。
そして、マリアンか私のどちらかが体調不良で登れなくなったときには、このポーターが一緒に下山してくれるとのこと。
ということで、頂上へは4人で行くことになる。
9時にシュラフに入り寝る体制に。
時々突風があり、テントは二人で良かったなと改めて思う。
脈は速く呼吸はとても浅いため、眠ると死んでしまうんじゃないかと思い、寝てはいけない!と、必死に寝ないように努めていたが、いつのまにか寝ていた。
Day14 メラハイキャンプーサミットーカーレ(5100m)
快晴
朝2時、自然に目が覚めた。
トイレに行くと、月あかりに照らされた風景がとても美しく、星空が広がっていて雲はまったくかかっていない。
風はほとんどない。
ということは、快晴微風のサミットには最高の天気ということか!
頭痛はないけど、食欲はゼロ。相変わらず呼吸は苦しい。
食欲は、こんな時間だから、普通に下界にいてもきっとゼロだろうとは思うけど、食べ物のことを想像すると吐き気がした。
心なし、お腹の調子も良くないような気がしたが、トイレに行くと健康そのものだった。
2時半にキッチンテントへ行き、お茶で温まる。
コックはまだ調子が悪いのか、ポーターが食事の準備をしてくれている。
昨日あんなに調子悪そうだったマリアンは、すっかり元気になっていた。彼女の申告では、ダイアモックスよりも痛み止めが良く効いたらしい。
私は食欲がゼロだったので朝食はいらないと申告すると、マリアンが、無理やりでも食べたほうがいいと強く言うので、食べる自信がまったくなかったが用意されてしまった。
食事を目の前にすれば少しでも食べれるだろうかと思ったが、実物を見たら気持ち悪くなり、無理に食べたら吐き出す感じがしたので、結局食べなかった。
代わりに、途中で食べられるようにビスケットをくれた。
マリアンは朝食を完食。
ああ~、、私は登れるのだろうかとさらに不安になる。
クライミングガイドには、頭痛はないけど、数歩歩くだけで息が上がってしまう、かなりスローペースでしか歩けない と申告。
「全然問題ない!」と強く言ってくれる。
バックパックには、配布された行動食のビスケットとチョコレートバー、お湯、ゴーグル、薬、アッセンダー・エイトカンなどカラビナ類を入れていた。
今回はアッセンダー・エイトカンを使うような場面はないらしいが、念のためだそう。
このバックパックは、ポーターが持ってくれた。
マリアンは、すべてをポケットに入れており、バックパックはなし。
驚いたが、結局彼女のすべてポケットに入れるが正解だった。
ハイキャンプへ戻ってくるまで、バックパックから何かを取り出したり、暑くてダウンを脱いでバックパックへしまう なんてことは一度もなかった。
4時、クライミングガイド・私・マリアン・ポーターの順でロープで繋がり、ハイキャンプを出発。
この日頂上へ向かうのは、私たちだけ。
ヘッドライトで雪山を登るなんて、何年ぶりだろう。
圧倒的なスケールの中、自分たちしかいない月夜のヒマラヤ。
ずっと息苦しかったけど、なんて美しい光景だろうと惚れ惚れできる余裕はあった。
昨日のような氷の斜面はなく、隠れクレバスは沢山あった。
すべてガイドが判断しれくれ、問題なく通過。
ルートファインディング中のガイドの姿はカッコいい。
休憩時は、ガイドが持参したコカ・コーラを回し飲み。
私はバックパックに入れていた温かいお湯を飲みたかったのだけど、コーラを飲めば元気になる!という力強い親切に、毎回冷たいコーラを飲んでいました。
ああ~、私ははっきり自分の意見を言えない純粋な日本人だわ~と思いながら・・・
途中で太陽が昇り、朝焼けが綺麗。
太陽は後ろから昇っていたので、歩きながら時々後ろを振り返る。
朝焼けを気にしているのは私だけで、他の3人は振り返ることなく黙々と登っていく。上記朝焼けの写真は、Goproの動画から切り出しました。
日の出が好きなのは、やっぱり日本人だけなのだろうか。
GoProはヘッドライトのように頭に装着して動画撮影していました。こうして撮影漏れを防ぐこともできて便利。
耐寒性ですが、だいたい30分ほどの動画撮影で一つのバッテリーを消費する具合でした。
頂上が近づくにつれてペースダウンしている私を、時々ロープで引っ張ってくれているのがわかる。
このまま引っ張り上げてほしいな なんて思っていたら、ポーターが思い切り引っ張ってくれたのだけど、それはそれでしんどかったので辞めてもらった^^;
頂上手前の斜面では、10歩に一度小休憩していたような気がする。
そんなスローペースで、やっと登頂!
到着した瞬間、疲れ果てて座り込み、そして、歓喜のあまり涙が出た。
半年トレーニングして、毎日思い描いていた頂上にたどり着けた!
時刻は9時。
ハイキャンプから5時間かけて登頂。
みんなとハグして、記念撮影大会。
私はgoproでガイドに頼んで写真を撮ってもらったのだけど、なぜかどれも動画モードに><
これは若い人に撮ってもらわなければと、最後に一枚だけマリアンに撮ってもらったものだけが静止画で綺麗に撮れていた。
20分ほど滞在して、下山開始。
下山時は、沢山のヒマラヤの山々を眺めながらとなるので、登りよりも景観が良く楽しい。下りなので息も切れもないし。
しかし、、 途中の休憩で疲れ果ててパタリと倒れる。
すかさずマリアンが、チョコレートと水を差しだしてくれた。
「あなたは朝から何も食べていない! まずはチョコレートよ!」と。
そういえば、そうだった!
朝、あんなに食欲なかったのに、この時はチョコレートバーをむしゃむしゃ食べられた。
食べていると、「Good!Good!」と励ましてくれる。
彼女と一緒で良かったなと心から思った。
ハイキャンプへ戻ったのは11時半。5時間かけて登り、2時間弱で下山したことになる。
私はすっかり体力を消耗していて、とてもこの日中にカーレまで戻る自信がなかった。
ハイキャンプで2泊できる分の料金は事前に支払ってはいるので、ここに留まりたいと申告した。
ガイドには1時間休憩するから、その間に食事をして休んだあとに考えようと提案された。
が、着々とテントは片づけられ、みんなはすげに下山モードに。
休んでいると、他の隊がカーレからやってきた。
そして、ポーターが高山病にかかってしまったのでダイアモックスを分けてほしいと頼まれる。
私のトレッキングガイドもここで高山病になった。シェルパでも高山病になってしまうんだなと改めて驚く。
そして、なぜ薬を常備していないのか不思議でたまらなかった。コックは胃腸薬も持っていなかったし。
ネパールの平均年収は約8万円。これを日当にすると約200円となる。
カトマンズで購入した、激安だと思ったダイアモックスは10錠で100円。半日の給料分ということか。
そして、メラ街道には薬局がないという事実から、現地の人が薬を常備しておおくのは難しいんだなと悟った。
後からガイドに教えてもらったが、年に一度、ヨーロッパのボランティアの医師集団が村にやってきて、健康診断と薬を寄付してくれると聞いた。
1時間休んでも、体力は回復しなかった。食欲もないので、食事もほとんど喉を通らない。
ぐったりしていると、隣でガイドが酸素ボンベの準備をはじめていた。
酸素を吸えば元気になるのだろうか。なんか、そんな問題じゃないような気もしていて、料金も心配だったので、酸素ボンベは使わなかった。
最後に、マリアンにカーレへ戻ろうとかなり説得された。
ここにもう一泊するのは大変だから降りようと。体調が悪いなら、なおさらカーレへ戻るべきだと。
確かにその通りだと頭では理解できても、体が動かないし、ブルーアイスの下りはかなり神経を使いそうで心配すぎた。
すると、「荷物は私が全部持ってあげるし、ブルーアイスはみんながサポートするから、下山しよう」と。
マリアンはポーターを雇っていないので、すべての荷物を自分で背負っている。たぶん10kgくらい。
私は半分ポーターが背負ってくれているので、たぶん5kgくらいだけど、それをさらに背負ってくれるという。
なんて体力の持ち主なんだろう。
結局、私の荷物はガイドたちがすべて背負ってくれ、ブルーアイスの下りは二人のガイドが両腕を支えてくれる状態で、なんとか下山した。
危険地帯を抜けたあとは、一気に気が緩んだのか、体が前に進まなくなり、10歩歩いては休憩する始末。
こんなペースでは、いつまでもカーレに到着しないので、マリアンには先にカーレに戻っていいよ と5回くらい言ったのだけど、
そのたびに、時間は沢山あるから、ゆっくり一緒に下山しよう!と言ってくれ、18時にカーレに到着するまでずっと一緒にいてくれた。
ハイキャンプからカーレまでの下りに、なんと5時間もかかってしまった・・・。でも無事に下山できて一安心。
この日は、ダイニングのストーブを囲んで、みんなとサミットのことで浮かれていたかったのだけど、あまりの疲労困憊で、早々に部屋へ行き眠りについた。
続きはこちら >>メラピーク登頂 山行記録4(全5話)